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最初に踊ってばかりの国を見たのは黒猫チェルシーのライブの前座としてだった。
『All de Fashion』のレコ発だから2009年あたりか。そのときはまあよくあるサイケバンドかなぁ位の印象しか持つことはなく、記憶にもほとんど残らなかった(あとスヌーザーのインタビューで「俺たちは黒猫チェルシーみたいな懐古バンドとは違うんで」みたいなことを言ってたのもマイナス点だった。呼んでもらったライブに出ておいてそういうことを簡単に言う不義理は嫌いなので)。
その後エレキングでかなり取り上げられるようになったのには驚いたが、確かにこういうサイケバンドはエレキングの好みでもあるだろうし、野田さんもオウガといいこんなんを頑張って誉めそやさなければいけないなんて大変だなぁなんて大きなお世話を焼きながら、特に興味も持たずに最近まで過ごしてきた。

そんな折、つい最近用事があって新宿に行くことになり、失敗しない生き方に興味を持っていた俺は『常夜灯』を買うために行ったタワレコで、彼らのインストアライブを偶然見ることになった。
驚いたのはそのボーカルの瑞々しさだった。確か俺が前に見たときはかなり変な(毛皮のマリーズみたいな)声だったのだが、うまくなったのか俺の記憶違いなのか本当に綺麗な声質でとても驚いた。
決してドラマチックではないがすこしだけ感傷的なメロディの美しさ、それがアコースティック編成だったのもあるかもしれないが楽器もあくまでボーカルを立てる控えめだが上手な演奏で、気づけば引き込まれて俺はレジにこの作品を持っていった。

果たして『踊ってばかりの国』には、まさにそのインストアライブで味わうことのできた美しさがしっかりとパッケージングされている作品だ。
以前のサイケバンド色はどこへやら(といっても他の作品は聞いていないが)、アレンジも曲構成も全くもってよくあるロックバンドのそれである。
参照先としては60sあたりのロックンロールを基本としつつ、直線的なグルーヴは90s邦楽のようでもあり、"いやや、こやや"のようにサイケ色をはっきりと見せる曲もある。
ただこのアルバムは、リズムやアレンジで魅せるようなアルバムではない。
ボーカルの下津が書く歌詞とメロディこそが、この作品を特別なものにしていると断言できる。
「話を終えよう 僕は変わらない 何を言われても君よりはダサくない」
「123と歩幅を皆合わせて フォーマルスーツ着込んだこの町の働きアリ」
「世界のせいにするなよ いつも君が悪いんだろう この町に罪はないだろう ノータリン」
何一つ言い訳のないただ尖った言葉の数々は、今の邦楽のどこにもないものだ。
"セシウムブルース”や"東京"、"踊ってはいけない国"などかなり社会的な言及をする歌詞もあり、本当に自由に書いているんだなということがよくわかる。
ただ自分としてはそのような歌詞よりも、"サイケデリアレディ"のような悲しみと諦観と怒りと愛が合わさった歌詞のほうが心惹かれる。
そう、彼らは怒りをそのままで表現しない。
美しいメロディと声に乗せて歌うのだ。
そのメロディは特異なものではないが実直で心に響く。おとぎ話やソウルフラワーユニオンのような良質な邦楽インディの系譜を継ぐ感覚がそこにはある。
また、ボーカルの美しさは特筆すべきものだろう。
まっすぐ歌いながらどこか飄々としているその歌唱はどこか宮本浩次や奥田民生を思い出させ、高音にも伸びがあるしたまに見せる忌野清志郎じみたソウルフルな絶唱も鬼気迫るものがある。ギターやドラムもむやみやたらと騒ぎ立てるのではなくひたすらにボーカルに寄り添いその素晴らしさを際立ており、かといって適当に弾いているだけというわけでもなくいいバランスだ。
まさに歌のアルバムといえるだろう。
ハイライトは物悲しさの漂う"サイケデリアレディ"からの"それで幸せ"だ。
ゆっくりした三拍子にアコギのストロークから楽器が少しずつ加わっていくという日本バラードのクリシェ導入から、今まで強い言葉を並べていた下津がサビでひたすらこう繰り返す。
「明日あなたに会う それで幸せ」
ひたすらにそれだけを繰り返し、そして最後にファズギターが炸裂する。爆音の中やはり下津は叫ぶ。それは怒りのあとの幸せであり、空虚だがリアルな言葉だ。
ドラマチックで情感的な曲構成は今までのどの曲にもなく、だからこそドラマを信じないニヒリズムの上で何かしらの意味を持って鳴り響く。

余談だが、歌詞を見るためにグーグルで「踊ってばかりの国」で検索しようとしたら、検索候補に「踊ってばかりの国 2ch」と出た。
それほど人気だったのかとスレをのぞくと、そこにあるのは「下津は不倫してる」「平賀さち江とヤってる」「そのあとはきのこ帝国の佐藤だ」というような、醜聞とすらいえないようなレスばかりだった。
下津は「この国は踊らされている」という。
俺はむしろ決して踊らない国だと思う。
何が起きても焦らない。地震が起きても原発事故が起きても、人が死んでも奇跡が起きても戦争が起きてもそれが終わっても、決して感情的にならず、踊らされずに冷静沈着でいる。いや、冷静なフリをする。そして怒り笑い踊るバカを冷笑する。
まさに「踊ってはいけない国」というやつだろう。
その中で彼らは貴重だ。決して叫び声をあげるのではなく、アジるのでもなく、まるで愚痴かギャグかのように不満をを吐露し、違和感を表明する。
インストアライブは盛況だった。決してロックオタクではなさそうな人たちも興味をもっていた。
彼らの歌があればきっともう少し先にいけると思う。エレキングがもてはやすのは間違いなくその社会性にあるんだろうが、そんなところに収まらずもっと今のような無責任な、日常的な社会批判のスタンスを守っていってほしい。
そして彼らの飄々と酔っ払い歌う姿を見ていると、心配ないかなと思える。


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