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ZAZEN BOYZ@渋谷AX(12/20)を見てきました。
ザゼンの単独は4のレコ発→一昨年の年末に続き三度目。
最初は1stと3rdを未聴で行き"RIFF MAN"すら知らずに慌てふためくという愚行を犯し、その次の赤坂ブリッツでは普段やらない曲をやるというコンセプトのライブだったせいでやっぱり知らない曲ばかりで慌てふためくという悲しい思い出が浮かんでしまうザゼンではあるが、ライブ自体が外れだったことは一度もないうえ今回は死ぬほど聞き込んだ『すとーりーず』のレコ発、しかも曲はそれこそ"半透明少女関係"までYoutubeで予習したうえでの今回のライブ。間違いなく楽しめるに違いないと喜び勇んで渋谷にレッツゴー。
7時にバンドの面々が登場。相変わらずの面々であるが、ドラムの松本さんが髪結わえてた。だよね!あの長い髪邪魔だったよね!だろうと思ってたよ!
そして中心に固まって配置された楽器をそれぞれが手に取り、裂帛のカウントとともに爆音を打ち鳴らす。それを四回ほど繰り返した後さっそく『すとーりーず』から"サンドペーパーざらざら"。まあ当たり前というかその腕はいささかも衰えておらず、鳴らす音のキレは本当に半端ない。ここまで完璧に爆音で鳴らされるとほとんどCD通りでも全然違うものに聞こえる。
んでそっから"RIFF MAN""HIMITSU GIRL'S TOP SECRET""SI・GE・KI"と代表曲を連打。"RIFF MAN"はもちろん移民の歌アレンジで、何度聞いてもアガらざるをえない。
そしてそこからは『すとーりーず』の曲を中心とした流れに。基本的にはCD通りだが、その複雑な曲構成にも全くバンドがぶれるようなことはなく、そのミニマルかつスリリングなグルーヴには単純なリズムとは違うファンキーさがあって聞いてて本当に楽しい。むちゃくちゃなように見えて実は完璧に息があっているこの四人のアンサンブルは月並みな表現で申し訳ないが本当にケミストリーというものが見えて、またその楽しそうに演奏する姿を見てもうメンバー変更はないだろうなと勝手に確信してしまう。
ただ個人的にすごく期待してた"天狗"もアレンジゼロで盛り上がりもしなかったのはちょっとショックだったかな。ボーカルの音がちっちゃかったせいであの落語調のラップ?が聞こえなかったのも少し残念だった。もちろんかっこよかったけど。
そういう意味で「これは明らかに今後のライブで演奏されていくだろうな」と思ったのは"サイボーグのオバケ"。小気味いいカッティングのリフ主体の4/4拍子ファンクは意外とありそうでなかったし、ブレイクの使い方も非常に意識的でライブ映えする。しかも曲が終わった後もベースだけ残して、そのあと向井がいつものMC悪ふざけをした後カウント→再度爆発の流れはザゼンにしては珍しいほどベタでこれはこれからのライブのいい味付けになるだろうと思った。
んでそのあとなんとあの坂田明氏が客演(普通に告知されてたらしいね…情弱で申し訳ない)。
『すとーりーず』にもサックスは一つとして無かったし、ジャムっぽい要素も薄かったわけで、いったいどういう風に使うのか…やっぱり"SUGAR MAN"とか"赤とんぼ"とかやって終わりかな?と勝手に想像してたわけですが、そこはさすがザゼンボーイズ予想を裏切ることに関してはもはや右に出るものなし。まさかの"暗黒屋"を地獄のノイズソングに大変身というとんでもない技に出てきたのだ。
まあ確かにある意味でゆら帝の"ロボットでした"のような意味でフリージャズ…というかキャプテン・ビーフハートやペル・ウブのような変態ガレージサイケに近い曲ではあったが、しかし一切ジャム部分もノイズ部分もないこの曲であそこまでキチガイじみたドロドロのノイズジャムを繰り出そうとは…いやはや向井の音楽素養には恐れ入る。
無論客も終始フリーズしたままだったが、それに罪悪感でも感じたのか次の"COLD BEAT"では間奏で何とカシオマンに吉田さんに坂田氏まで歌わせて、挙句の果てには観客にまでコーラスを求めるというザゼンでは珍しいほどフレンドリーな一面を見せていて、それはそれで面白かった。
そして本編ラストはなぜか(というわけでもないが)"はあとぶれいく"で〆。やたら熱唱していたのは本当になぜだったのか。とても何となくだが前回の赤坂ブリッツでなぜか二回も歌ったThe Smithの"This Charming Man"を思い出した。
そしてアンコール。向井秀徳はストラトを持ち、他の面々は楽器を持たずにマイクの前に並ぶ。坂田氏も現れその手にはサックス。はてアカペラ安眠棒かな?と思ったら何と"KIMOCHI"!ストラトの美しいアルペジオに坂田氏が先ほどの鬼気迫るフリーサックスとは真逆のあまーいメロディを乗せ、そして四人全員でゴスペラーズよろしくガチであのド直球ラブソングを歌い上げる!しかもきっちり一人ずつソロパートがあり、全員無駄にうまいwいやーほんと今回はザゼンのひょうきんというかユーモアな部分がこれ以上ないほどよく現れたライブだった。なんかホモくさいと思ったのは内緒だ。
そしてラストは"Asobi"。いつも通りのサイケデリックでクールなハウス仕様で素晴らしいものだった。
まあ本領というわけではないし『すとーりーず』のレコ発としてはそのポテンシャルをしっかりと転化できたライブだったとは少し言えないかなとは思うが、ザゼンの違った側面…ユーモアや楽しさ、そしてアヴァンギャルドさがいつもよりずっと前面に出ていてなかなか刺激的だった。
それこそ"RIFF MAN"とか"HIMITSU~"的な変拍子ファンクをずっとやっていくわけにはいかないわけで、『すとーりーず』はシンセやイーブンキックなどというような飛び道具を使わずにそこから抜け出ようとしたアルバムだと個人的には思っているんだけど、今回のライブもそういう意図というか…ザゼンボーイズの底知れなさとでもいうべきものが垣間見れたと思う。
ぜひ『すとーりーず』の曲を今後のライブでさらに練り上げ、今までの曲ともっとうまく融合させたライブを見てみたいと思う。
タイコクラブ行ってきました。
長野県でやるこのフェス。今回は長距離バスで行ってみたが、いやー遠い。距離的にはフジロックの方が遠いのか…わからんけど、とにかく移動はきつかった。知らん人隣に五時間は姿勢的にも精神的にもとても厳しいものがある…。
基本的にはメタモのような、山中の奥地で開かれるレイヴフェス。
ただステージが二つしかないのと、メインステージがびっくりするほどしょぼい(ツイッター参照)のを考えると、やはり新興フェスなんだなぁとは思う。まあしょぼくとも音響的には悪くないし、二つのステージは全くと言っていいほど音被りもないし、というかあんまりうろうろするほどアーティストもいないので不満はさほどなかったけど。
ただ夜は寒い。死ぬ。薪が置いてあって「六月にバッカじゃねーの」と内心思ってたけど深夜には普通にあたらせてもらいましたごめんなさい。長袖に薄手のパーカーに雨具着ても寒い。息白かったもんな…いやはや。
個人的に自然の中というのに魅力をさして感じないので(つかその部分でもメタモやフリーク、センスオブワンダーとか近場にいろいろあるし)フェス自体に魅力を感じる程ではないが…まあ嫌になるような部分も特になかった。出店が少なかったかもしれないけど。
さてライブの方。
まずムードマン。普通のハウスDJ。愛想がよかったのはいいなぁと思った。
次にボアダムス。
先々週に単独行ったのでまあ一応ファンとして楽しむレベルかなと思ったんだけど、全然そんなことは無かった。
だいたいにしてステージに医療用ベッドがあるライブが楽しくないわけがない(もちろんEYEさん用)。
んでギターオーケストラも登場…が、さっきも言ったようにしょぼいメインステージ。それだけでステージが埋まってしまう。
あとドラム六台…どうすんの?と思ってたら演奏が始まる。出だしは単独と一緒。もしかして今回はこれだけ?それはそれで楽しそう…と思いきや、客の一人があさっての方向を見て目ん玉飛び出るほど驚いてる。
どうしたとその目線を追ってみたら、なんと彼方からドラムご一行がキャスター付きの小ステージに乗ってやってくるではないか。
ちょっと言ってる意味がわからない人もいると思うがこれ以上詳しく説明してもしょうがないのであがってるかもしれない動画を見てください。前回のタイコ出場時とだいたい一緒っちゃ一緒。運ばれる台数が倍だけど。
そしてステージ前に円状に配置されるステージとドラムたち。そしてEYEさんの合図と共に、ライブが始まった。
順番が入れ替わっただけで演奏自体は単独と一緒…と簡単にいいつつも、あんな最高のライブである。それがこんなむちゃくちゃな状況で鳴らされるわけだから…もうフロアは半狂乱で、セキュリティが円を守らなければいけない始末である。無理もない。単独を見た俺ですらうわ言喚いて踊り狂っていたのだから。
まあ正直PA自体には無理があり、しょぼいステージのスピーカーでは音圧が全く足りておらずひたすら隣のドラムがバカバカ聞こえてくるばかりという状況ではあったが、もうそんなの関係ない。パンクでエクスぺリメンタルでエンターティメント。骨折というハンデを補って余り有りまくる最高のライブだった。
次はOgre You Asshole。
数少ないエレキングイチオシ邦楽バンド、インディ界隈で赤丸急上昇中のバンドということで、楽しみだった。
実際素晴らしいライブだった。ぶっといグルーヴに爆音ギター、高くも強いボーカルの上に鳴らされる意外といいメロ。AXを埋めるバンドとは思えないしっかりとした音楽性、そしてライブである。ここまで迫力のあるギターはなかなか鳴らせるものではない。
ただまぁ色めき立つほどでもないかな。ブラックエンジェルスとかと同じレベル。売れてる邦楽バンドでこれは確かにすごいとは思うけど…洋楽じゃゴロゴロいるだろう。これじゃゆら帝の後を任せるには程遠い。
初期のマキシモパーク、フォールズ的ポストパンク時の曲を間に挟むくらいの余裕が欲しいなぁと思う。
そしてサカナクション。
いやーまさかサカナクションのライブを見る日が来るとは。
楽しかった。ダンサブルでメロのいいロック。ひたすら快楽原則に忠実なライブ構成。そりゃ売れるわ…と見ながら思う。ボーカルが意外とナルシスト入ったステージングするのが逆によかった。
しかしありえないくらいの人の量だった。全行程で一番じゃなかっただろうか。PA後ろまでぎっしりでみんな手を挙げながらジャンプジャンプ。こんなに人気だったんだな。まあそうだろうな。
ボーカルはリンドストロームとかも好きなちゃんとしたダンスミュージックファンだという。もう少しタイコクラブの他のアーティストとの溝を埋めるような、しっかりとした曲も書いて両者をつなげていってほしいものだ。
次はSepalcure。このあとにも出るMachinedrumとPraveenのユニットで、聴いてる限りだとフェネズ入ったファンキーといった趣きか。悪くはないがあまりに似たような曲が多くて眠くなってもうた。
おかげで次のTR-101はかなり集中して聞けた。ガッチガチのハードミニマル。わかりやすいブレイクなどひとつもなく、こちらには一瞥もくれずひたすら機材をいじりながらむちゃくちゃに固い一音一音をフェードアウト&インさせて構成していくその姿はダンスミュージックというよりはポストパンクかインダストリアルか…集中して聞けなかったらすごい眠かったと思うが、素晴らしいライブでした。
んで。
このために長野に来たといっても過言ではない。ついにきましたAnimal Collective。
曲目としては去年のピッチフォークフェスと全く同じ(細かいアレンジはもちろんあったけど)。どうやら最近のライブもだいたいそうみたいだ。やってほしいことやってくれたとも言えるが、驚きはなかったとも言える。
そして…ピッチフォークの映像を何度も見返した自分から言わせてもらえば、少々なかだるみというかミスが目立った印象はあった。曲同士のつなぎやブレイクなどで、スタッフとの連携が悪く楽器交換などに手間取っていたのが傍目でもわかった。かなりナーバスになっているようだったし、決してベストなライブだったとは言えないだろう。
まあでもあのライブを生で見れるというだけで十二分に価値はあるし、流れを切るほどの大きなミスがあったわけでもない。生で聴くと、新曲陣その他本当にリズムが強いなと感じた。低音のキレや曲構成がなんともスリリングで、ある意味でボアダムスのライブとも通じるものがある。あとボーカルの迫力が半端じゃない。"Brotherspot"や一回とったギターを置いて半ばやけくそで叫んでいた"We Tiger"はかなりかっこよかった。
残念というほどひどいライブではない。それは間違いなく言える。これ以上のライブはいくらでもしてきただろうが、まあこれでもう日本でライブしないわけでもないし。単独に期待しましょう!
そこで俺はもう疲れ果ててしまい、そのあとのライブはまともに見たとは言い難い…とにかく寒くてウロウロしてた。
ただそんなコンディションでもMouse On Marsは印象に残った。どこで聞いたか勝手にアンビエントな地味音楽をやる人たちだと思っていて、寝れるかなーと何となく見てたらいきなりバカみたいな爆音がなって心臓飛び出るかと思った。アンビエントどころか、バキバキの生ドラムの上でアタリティーンエイジライオットみたいな爆裂ノイズを二人がかりで浴びせまくるという、朝四時にブッキングしたやつアホとしか思えないイカレたバンドだった。
一時間延々ライトニングボルトみたいな音を出し、最終的にはスタッフまでステージで踊り狂いサイレン鳴らしてぶっ飛ばすという壮絶エンド。体力があったら俺も踊りたかった…次にフェスで見たらぜひ行こう。
一応Ricardo Villalobosも見て帰ろうかと思ったが…最初の三十分聞いたけどほんとに地味ーなミニマルで(それがいいんだろうが)さすがに疲れきった体では催眠音楽にしかならず、おとなしく帰路についた。
やはり俺には山奥のフェスは合わないな…フリークフェスくらい近ければなんとかなるけど。KAIKOOとかIBYMみたいなのの方がいいわ。今年はやっぱりサマソニにしよう。
ボアダムスといえばライブ。
というわけでもないが、しかしボアダムスの真の素晴らしさはライブにいかなければわからないのは間違いない。
最近新譜はおろかボアダムスとしての新音源はほとんどない上に、そのライブもなかなかやらない。そしてその数少ない去年のライブでライブに対する価値観が変わるほどの信じられない体験をした自分としては、もう単独公演とあらば親が死んでも行かざるを得ないというものである。
という訳で品川へ。
外で待ってる客層は意外と幅広い。カップル、美大生っぽいオサレ、オタク、外人、普通の男女…チャラい奴がいないくらいだろうか。
しかしこの品川ステラボール、明らかによくあるライブハウスというよりはコンサートホール…というわけでもないが、隣はショッピングモールや水族館、通りはスーツのビジネスマンやら家族連れやらデートカップルやらでごった返しており、スタッフもホテルマンみたいな格好している。その中に明らかにイカレたボアのTシャツとか着てるフリークどもが順番待ちで屯してる姿はなかなかシュールというか…なぜこんなとこでライブするんだ?
というのは中に入るとわかった。中は普通の大きいライブハウス。だいたいO-East以上ZeppTokyo以下というところだろうか。つまりそのくらいの大きさのライブハウスでやりたかったのだろう。
さて。そしてライブ本編である。
まず十人ほどの男女がぞろぞろと現れ。その全員がギター(ひとりだけベース)を持ち椅子に座る。噂に聞いていた増子真二率いるギターオーケストラである。
そしてボアダムスの面々登場。前回は七人のドラマー+EYEさん(+増子さん)だったが、今回はドラマー五人。ヨシミさん(超かわいい!)、YOJIROさん(超イケメン!)、千住さん(帽子&メガネ!)、あと二人。一人は前のライブでもいたなー。多分ザック・ヒルかな?。もう一人は見えなかった。すまん。
そしてEYEさん。相変わらずファンキーな服装である…が、いつのまにトレードマークのドレッドやめたんだ。
というのはどうでもよくて、演奏。
最初はゆったりとした始まり。EYEの動きに合わせて他のメンバーが音を合わせ、だんだんと盛り上げていく。
もちろんギターも参加。10人もいればそれぞれが好き勝手弾けるわけもなく、ギタードローン的な使い方が強い。10枚のシンバル乱れ打ちに合わせたケヴィン・シールズ的な轟音はなかなか耳にクる。
そして、さらにそこにEYEとヨシミのボーカリゼーションが合わさり、渾然一体とした爆音となったところで、ついに例の棒を掲げ、伝家の宝刀セブンナーを打ち鳴らして"Vision Vreation Newsun"。
基本的には前回と特に変わらないアレンジではある…が、当然ギターが違う。味付けどころかドラムを包み込むほどの大爆音がトランスな演奏に乗っかり、えも言われぬ快感を与えてくれる。そして一気に前に出てきてEYEが叫ぶ。「Vision!Creation!Newsun!!!」もうフロアは完全にモッシュである。冒頭から熱気が半端ない。
そこから続けるように"Super Going"。同様のトランシーなギター、ドラムと共にチャントのような「Shine on」という言葉が突き抜けるように飛び込んでくる。フロアの熱狂は変わらない。皆踊り狂っている。何とEYEさんはダイブまでした。盛り上がらないわけがなかった。
しかし…正直ここで一抹の不安が差したのも事実だ。
まさかこのまま前回と似たような…いや2000年代から今までやってきたようなトランス的手法を、ギターを増やしただけで続けるのだろうか。あのボアダムスがそんな予定調和でいいのか。確かに楽しい。楽しいが…モグワイとは求めるものが違う。一体何が起きるのかわからない楽しみはもう26歳のボアダムスに求めてはいけないのか…。
その杞憂は、"Super Going"が終わったあとにすぐ吹き飛ばされた。
Konono No.1のような土着的なリズムを主体としながら、超複雑かつ完璧なコンビネーションのドラミングの上でEYEとヨシミがマントラのように叫び合う。前回のライブでもあったが、完成度が違う。尋常じゃない気合とセンス、そして腕である。ドラムを減らしたことによりトランス的な部分を減らした代わりに、こういう複雑なリズムを完璧にモノにしている。まるで踊るようにステージを駆け回り叫ぶEYEの姿は…ベタな表現で申し訳ないが祈祷師のようだ。
そこからはまさに新境地といえた。
全く同じようなリズムを繰り返さない。五人のドラマーが五人とも、まるでマスロックか、ザゼンボーイズかという緊張感と共に、EYEの号令で様々なドラミングを繰り出す。そこにEYEがサンプラーやエフェクトを効果的に差し込み、時に増子さんの号令でギターオーケストラが轟音をぶち込んでくる。
EYEとヨシミのボーカリゼーションもとんでもない。何言ってるか完全に分からないのはいつものことだが、今までの民族音楽的なものとも明らかに違う。ある種のナンセンスギャグのような、「ずくたんずんぶんぐん」のようなむちゃくちゃな言葉をリズムカルに叫び合うその姿は、それこそ初期の最高にイカれていた時のボアダムスすら想起させた。
信じられなかった。26歳のボアダムスは、未だに進化しようとしていた。この辺境の地でどこにもないような音楽を生み出し、USインディ他世界に大きな影響を及ぼしたこのスーパーバンドは、それでもまだ違う音楽を生み出そうとしているのだ。しかもアヴァンギャルドに逃げるのではない。全くアヴァンギャルドではない。転々としながらもしっかりとしたリズム、そしてメリハリのある構成は明らかに練り込まれたものであり、ポップですらある。それこそ彼らが生んだ最高の結果であるAnimal Collectiveにすら追いつきそうな、恐るべき音楽がそこにはあった。もうセブンナーからの着地に失敗してEYEさんが骨折したとかどうでもよくなるくらいに興奮し、俺は踊り狂った。
そして、一旦音を減らしたあと、あの特徴的なリズムが鳴る。"Acid Polis"である。
リズムは一緒だが、もちろんギターが全然違う。10本のギターで鳴らされるギターリフは、最早神々しさすら感じられる。そして骨折したEYEが必死に前に出てくる。モニターに上り、叫ぶ。俺たちも叫ぶ。「Aciiiiiiiiiiiid!!!!!!!!」あれだけ訳のわからん音楽をやりながら、最後にはまるでロックバンドのおセンチなライブみたいなことになっている。その倒錯がまたたまらない。
そしてまたも轟音できっちり締めて、まるで何事も無かったかのようなEYEさんのかわいい「ありがと」でその日の本編は終わった。フロアは歓喜で爆発していた。俺はもう泣きそうになっていた。
EYEさんは骨折してるのにスタッフに肩を借りてアンコールに応じた。そこで鳴らされたのはギターとドラムとサンプリングとエフェクトで鳴らされるおとなしめのアンビエントで、最後の盛り上がりを作れるわけではないが耳には楽しいものだった。できればこれは本編の中盤でやってほしかったかな。
そして全てが終わり、全員がお辞儀をしてハケていく。あんな凄い音鳴らしておいて照れながら帰っていくヨシミさんに死ぬほど萌えた。
強いてケチをつけるなら、中盤の最も刺激的な部分で、EYEさんが怪我をしてしまったこととせっかく引き連れたギターオーケストラがあまりフューチャーされてなかったことだろうか。だがそれも他の部分ではとても素晴らしい使い方をしていたし、何よりそんなのどうでもよくなるくらいに中盤は音楽的にもライブとしてもかっこよかった。
もちろん六月のタイコクラブにもいく。骨折となるとそこまでにベストコンディションというのは難しいだろうが…ぜひ既存曲だけで終わらせることなく、今だに前に進んでいるところをパンダベアたちに見せてあげて欲しい。
楽しみでしょうがない。
まずは前座のPsysalia Psysalis Psycheから。
このバンドは最初のEPからずっと追ってきた邦楽の中でもかなり好きな方のバンドで,最近ニューアルバムを出したということもあり,かなり楽しみにしていた。
実際とてもよかった。ボーカルはギターをサポートに預けて歌に専念するようにしたらしく,モニターに足かけて歌いまくるその感じはいい意味でメジャーになっててよかった。結構美形ぞろいで,しかもリズムや音像はかなりエグいけどメロ自体はポップなので意外と売れないかなーとか思ってたりしてる。その兆しは皆無だが。
しかし客にはウケなかったようだ。俺と一人以外ほとんど微動だにしてなかった。まあアイスエイジはゴリゴリのハードコアだからそりゃそうかとは思うが…「21st Century Massacre」はほんとよかった。
んで前座が終わると,予想以上にぎゅうぎゅうでびっくり。1st一枚でさほどプッシュもされてないと思うが,ここまで人が入るとは…いい事である。
と思ったのは始まるまでだった。演奏が始まり,まさにCDそのままの爆音ハードコアが鳴らされるが,二,三人が必死に暴れるくらいで他は(マジで)微動だにしない。手もほとんど上げてない。客は終始そんな感じだった。別に暴れるのがライブの楽しみじゃないがアイスエイジみたいなバンドのライブわざわざ聞いて直立不動とかもう言葉選ばずに言うがバカか?ジェームス・チャンスのときくらい引いた。
まあ客はおいといて,ライブ自体について。
最初は爆音といいつつ意外と大人しく,「ん?これじゃなんかちょっと荒いガレージバンドじゃね?」と思っていたが,後半になるにつれどんどん演奏がノリだし,最後の方はほんとハードコアでもガレージでもないマジでフリクション的なノーウェイブバンドみたいで最高だった。
ボーカルも危ない目つきでスタンドにマイクのコードぐるぐる巻きつけてがなりたてる超カッコイイ感じなのだが,後ろの三人も凄かった。ほぼ直立不動で固まったまま,ドラムのカウントに合わせていきなりズガンと音を鳴らすその佇まいはまさにパンク。ギターの音もディストーションじゃなくコンプかけてギャリギャリ鳴らすって感じでさらに素晴らしかった。
もちろんアンコールあわせて45分で終わり。最後の曲は何か途中でギターの弦切れてトチったらしかったが,ダイブもしたしそんなの関係ない熱いハードコア魂を見せてもらって非常に満足だった。客がよけりゃもっと満足だったが。
サマソニにもくるようだ。もちろん観にいく。フェスは無駄に客のノリがいいからきっと今回よりは楽しめると思う。
正直最新作のレコ初ツアーは二月に行ってて,セトリもフジとほとんど変わってないようなのであまり期待せずに行ったんだが,いやー関係ないね。むちゃくちゃ盛り上がった(よく訓練されてるともいう)。
まず思うんだけど,やっぱモグワイはこのくらいの大きさのライブハウスがちょうどいい。
フェスは論外として,二月の単独ライブは恵比寿リキッドだったんだけど,そっちより今回の方が音響としてよかったと思う。あの壮大な轟音は千人単位のライブハウスじゃないと合わないね…。今回は音響の意味じゃもう最高レベルだった。フジが微妙だったぶん余計そう思った。
んで肝心の曲の方だが,今回のライブでは,最新作の曲がほんと素晴らしいなーというのがまず強く印象に残った。
二月のライブは発売日当日のライブで,自分がその曲に慣れてないこともありうーん?と首を傾げてしまう事も多かったんだけど,一年かけて聞き込んでから改めて世界ツアーで磐石の態勢にしてからの演奏を聴くと,本当に他のアルバムの曲と遜色ないとすら言える素晴らしさ。特にWhite Noise,San pedro,You're Lionel Richieの三曲は震えた。(Mexican Grand Prixはなー,微妙だったけどなー,まああれは原曲自体好きじゃないからしょうがないな)。
他のアルバムの曲はまあいつも通りなんだが,今回はI'm Jim Morrison, I'm Deadのかっこよさに気づいた感じかな。轟音がちゃんと響く環境であれを聞くとかなりキく。
あとラストのBatcatだなー。もう黒モグワイの象徴みたいなエッグいノイズヘビメタが最高すぎる。あれ二十分くらいのロングバージョンとかにならないかなー。間奏のノイズパート超かっこよかった。
逆に不満点としてはやはりセトリがマンネリすぎる事。もう大体次の曲が読めるくらい。特に白モグワイ…明るい曲が多すぎるんだよな。Friend of the NightとかMogwai Fear Satanとか。もっとドス黒い曲…My Father,My KingとかLike Herodとかやってほしいわ…We`re no Hereは最近もやってるみたいだけど。最新作自体結構明るいから余計ノイズが欲しくなる。
あと細かいところだと転換多すぎるというか…あんなもんだったかな前から。毎回毎回ギター代えるからちょっと萎えるんだよね。まあしょうがないかな?
でもほんと基本的には最高でした。これぞモグワイ。2008ツアー→サマソニ→メタモ→二月来日→フジ→今回と来日した奴は全部いってるけど2008に次ぐ出来(2008は何も知らないで行ったからあれ以上は多分今後ありえない)。やっぱモグワイは単独ですな…轟音最高!
10 | 2024/11 | 12 |
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好きなアニメ:
パトレイバー劇場版2.瀬戸の花嫁
好きな音楽のアーティスト:
モグワイ,スピッツ
好きな漫画:
宮本から君へ,ガンスリンガーガール
好きなラノベ:
イリヤの空,UFOの夏