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俺は「イリヤの空,UFOの夏」が好きだ。

とてつもなく大好きだ。超好きだ。「自分にとって一番好きな作品は?」と聞かれたら「一番」辺りでもう答えると思う。小説はほとんど読まないがこれは例外だ。毎年読む。いや半年に一回は読む。月に一回はパラパラめくる。夏がくると思い出す。原チャリ見ても思い出す。猫見ても思い出す。

しかしどうやら世の中では,これはよくてセカイ系の代表作,悪けりゃエヴァや最終兵器彼女のパクリといわれているらしい。
いやまあ確かにセカイ系だし,エヴァのパクリっぽいところもあるんだが,そんなのどうでもよくなるほど最高な作品なのである。

とりあえず言っておきたい事は,これはSFじゃ全然無いということだ。
時々意味がわからない専門用語が飛び出したりするが,本筋の部分ではSF的要素はほぼ無いといっていい。基本的にボーイミーツガール青春ラブストーリーである。電波女広報の言を借りれば,「S(少し)F(不思議な)」物語だ。
ロボット同士のバトルもない。組織の争いもない。宇宙人が攻めてきてドンパチとかもない。キャトルミューティレーションもない。あくまで舞台装置としてUFOやら戦闘機とかがあるだけで,それが重要な話の転換点として現れてくることは全くない。
そういう意味でエヴァというよりはサイカノの方がまだ近い。
というかいきなり論旨がひっくり返りそうな事を言ってしまうと,話のあらすじはほぼサイカノである。
しかもご丁寧にサイカノ完結は2001年10月,イリヤ開始は2001年10月。つまりパクリと言われても何の文句も言えないタイミングなのだ。
ただここで「ほーらやっぱりサイカノのパクリじゃーん!」と言ってしまったらそれはあまりにも短絡的というものであり,さらに言えばもし秋山さんがサイカノを読んでイリヤ書いていたんだとしても俺のイリヤの評価は変わる事は全くない。そしてここで言うサイカノとイリヤの差異こそがイリヤが他のセカイ系よりも素晴らしい点であり,俺がここまでイリヤに惚れる理由なのだ。

じゃあそれが何かと言えば,一言でいえば「作者の冷静さ」だ。
もう少し面倒くさい言い方をすれば作者の作品に対する距離感ともいえる。
要するに,作者が作品に没入しすぎていないのだ。あくまで冷静に主人公たちの行動の是非を判断しており,結果愚かだという視点の元で話が進んでいくし,周りも決して主人公を無条件に応援しないし,するときはそこに利害判断が必ずある。唯一榎本だけは違うが…彼が主人公達を応援する理由も大人として強く共感できるものになっている。
それが顕著なのがラストだろう。詳しくは言わないが個人的に天地の差といっていい(というかサイカノはラストのせいで好きになれなかった)。
そこでの違いが全体の演出において大きな違いを生んでいて,一つ一つのシーンを素晴らしいものにしている。決して大げさな悲壮感をあらわすものにならず,彼らが悲しい結果になるのは当然の結果だという考えにより,淡々と,だが喪失感が滲み出るような味わいのあるものになっているのだ。

実は秋山瑞人という人は,こういう叙情的な恋愛ものはキャリアから見るとかなり異色だ。
得意分野はさっき言ったようながっつりSF。実際処女作のEGコンバットはかなり本気のガンダム的ロボバトルSFだし,他の作品も,もちろん心理描写もきちんと描かれているが,それ以上にSF的な装飾と話の展開で魅せるような極めて無骨なものが多い(実はハヤカワ文庫から出していたこともあったりする)。萌えも決してない事はないがかなり少なく,イリヤや妹みたいなベタベタなものはありえない。
イリヤ発売当時の2chスレなどを見ると,イリヤに対し「売れ線に走った!」などの意見が見られるし,それも決して無理のない反応である事は他の秋山作品を読んだ事がある人ならすぐわかるだろう。

つまりイリヤというのは,ラノベの王道から距離をとった男らしいSF良作を描いていた作家が初めて書いた,萌え学園感動ストーリーということになる。
だからこそ萌え感動ラブストーリーしか描いてこなかったような人にはできないような視点を持てるし,そういう人にしか書けないシーンがこの作品にはたくさんある。
かといってやけに斜に構えた,違う視点である事を見せびらかすようなこともない。萌えるシーンではしっかり萌えるし,プロットだけ見るとかなりベタな展開をしている。サイカノと丸被りであることがそれの証左だろう。パクリといわれればそれまでだが,むしろ俺は泣きゲーの王道をしっかりとやっていると考えている。エヴァみたいな作ってる本人すら訳のわからん奴より全然いい。
だが,そのプロットをシーンとして書きだすと,ただの泣きゲーではない美しいものになるのだ。
特に海岸でのシーン,そしてラストは本当に何度読んでも素晴らしい。恐ろしく冷たい視点から書いた,恐ろしく綺麗な演出。それはプロットだけ見れば凡百の邦画や泣きゲーのような単純なものだが,それがシーンとして現れたとき何よりも心を動かすものとなる。

恐らく秋山さんは二度とこんな話は書かないだろう。明らかに第二のイリヤを担当に頼まれたであろう作品「ミナミノミナミノ」は一巻で終わり,もう続きは無い事を講演でほぼ明言してたし,その次に出した作品はSFではないものの男らしい中華バトルものだった(まあそれも続き出てないしつか上でいったEGも続きでてないけど…)。
それこそ2chスレの人が言ってる事は正しいのだ。「売れ線に走った」全く間違いではない。
いつも通りのSFを書くと,担当に「これじゃ売れないからさー,もっとメジャーな奴にしない?」といわれ,「じゃあ…最近セカイ系とか流行ってるし,学園ものでクーデレもツンデレもだして,あ,妹もいいかも」「おお!いーじゃんじゃあ挿絵はこつえーに頼んでベタベタ萌えラノベにしてみるか!」こんなやりとりが容易に想像つく。
だが,それによってこの名作はできた。
押井守の「パトレイバー2」,岸誠二の「瀬戸の花嫁」と同じ論理だ。泣きゲーやセカイ系から遠く離れた人が書いた泣きゲー。業界のしがらみのせいで書かされた自分の書きたいものじゃない売れ線作品。これだからラノベは?金のために書いた?門外漢だから話にオリジナリティがない?だからどうした。だからこそ最高なのだ。プロットだのキャラだのとはレベルの違う点で最高な作品が出来上がった。
もしこれでやたらSF的なバトルが展開されたら,学園ものじゃなかったら,イリヤも昌穂もいなくて皆三十代の男だったら俺はここまで感動しなかった。パッと見がここまでベタなラノベだったからこそ,挿絵がこつえーだったからこそ,最後にあんな事を浅羽が言ったからこそ,俺にとってイリヤは最も素晴らしい作品になったのだ。

ここまでだらだら長い事くだらんものを書いてきたが,とりあえず読んでほしい。一巻だけでもいい。一巻だとまだただのラブコメ(ちょっとホラー)だが,十分楽しいし何よりそれだけで秋山さんの素晴らしさはわかる。そしてどんどん盛り上がっていって,アニメ化すればいい。シャナもやったし!乃木坂もやったし!なんとかなるっしょお願いだ!もういいよJCでもジーベックでも東映でもいいからとりあえず1クールでやってくれ!でもできれば長井かな!あの花見てより思った!会社はA-1!
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