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まどマギ劇場版前編を見た。
とても面白かった。前々からまどマギは一気に見た方が面白いと思っていて、特にこのような無駄を排してきっちり二時間にまとめたものを劇場のスクリーンと音響で見る迫力というものは、想像したよりもずっとカタルシスが大きく、内容としては意外と新規カットの少ないよくある総集編ではあったものの1800円を払ったことを後悔するようなことは全くなかった。
去年の春に放送が終わった時の自分の感想としては、ここ(http://u16n.3rin.net/Entry/103/)でも書いたが面白いということは認めつつ満点というわけでもなかった。それはラストや演出、そしてさやかちゃんの扱いいいいいいいいいとか色々要因はあったわけだが、そのあと意図するしないに関わらずあの狂騒の中でまどマギというものについて考えさせられ、再放送で全話をもう一回、そして今回八話までの流れを見ることで、いくつか見直したというか気づいた点というものがあった。今回はそれについて少し書いてみたいと思う。

まず気づいたのが、スタッフの演出意図である。
ここまで物語が強く心情変化が激しいアニメにおいてシャレオツでアート色バリバリ個性出し出しのシャフト演出というのは少し前の自分としてはもう水と油というか刺身にオイスターソースという感じで、放送当時は脚本に関してほぼ満点といっていいレベルだったからこそ残念な思いを禁じ得なかったと共に感想でそこについての指摘が全く無いことに苛立ちすら覚えていた。
だが、同じくシャフトの宮本幸裕氏がシリーズディレクターを務める電波女と青春男での演出に心奪われ、またその後放送した偽物語を見てシャフト演出というものについて評価を改めることになった後に今回のまどマギ劇場版前編を見て、掌を返すようで大変申し訳ないがその演出のハマり具合に感動してしまった。
虚淵氏の書くシナリオというのは基本的にはリアリティがあり、またSFとしての説明台詞も多い。そういう意味で自分は最初まどマギをガンダムやギアスのようなバトルSFものとして位置付けていた。
だが、それらの作品とまどマギが異なる点は、リアリティのバランスだ。
別にまどマギがリアリティがなくてつまらないといいたいのではない。リアリティよりもシナリオとしてのダイナミックさを重視しているのだ。整合性や共感できるか否かよりも、物語としての強度を重視している。だからこそここ最近のアニメでは希少なほど登場人物の心の揺れ動きが激しく、シーン一つずつの力強さが恐るべきものとなっている。そういう意味でまどマギというものはとても演劇的とすら言えると思う。
そこに様々なものをデフォルメし強調することを基本としたシャフト演出というのは、むしろこれ以上ないとすら言えるほど合致している。特にさやかちゃんが魔女になるまでのワンシーンワンシーンにおける過剰とすらいえる演出は、虚淵渾身の鬱シナリオにおいてこそ決して演出の暴走となることなく完璧な調和を見せて観客を魅了する。
また、シャフト演出のもう一つの特徴ともいえるサブカルっぽいアート演出も劇団イヌカレーがその役割を担って存分に発揮されているが、これも驚くほどはまっている(最近知ったのだが、前述した宮本氏も劇団イヌカレーの一員らしい)。もちろん魔女とのバトルというファンタジー設定がそれを違和感なく見せている一つの要因でもあるが、それだけではない。
めざましテレビのまどマギ特集で誰かがまどマギを「暗いおとぎ話のようなもの」と言っていたが、これはあながち間違いではないと思う。先ほど言ったような過剰なまでの鬱展開や心情描写を基本とした起伏の強いシナリオ、スケールの大きい設定などは現代的なSFや等身大の魔法少女ものというよりはどこか戯曲のような、古い演劇というような印象を与える。
そこにおいてもやはり絵本のような劇団イヌカレーのアート空間はとてもマッチしている。現実味のある敵としての魔女ではなく、抽象的である意味単純な悪という概念としての敵という意味で、複雑な能力や武器などを排しビジュアル重視での描写を選んだスタッフの選択はまさに慧眼という他ない。
だが決してまどマギはリアリティのない適当なシナリオというわけでもない。登場人物の人間味あふれるキャラクターは感情移入するに余りあり、そのリアリティがあってこそのさやかちゃん鬱展開がある。そのリアリティも決して逃がさないようなしっかりした演出もしていることが、実は今までのシャフトにはなかった部分でもある。それは電波女で存分に振るわれていたもので、俺としては想像ではあるが、まどマギと電波女(正確にいうとその前の荒川からだが)でシリーズディレクターとなった宮本氏の力があると思っている。シャフト流のアニメ的な演出と邦画のようなセンシティブな演出の融合、そしてそのバランスは、決して何となくあがったシナリオに手癖で付けたようなものではなく、まどマギというシナリオを演出するにおいてほぼ完璧なものだといえる。

また、今回見るにあたって見過ごせなかったものとして、声優の演技がある。
まどかの声優である悠木碧は確かこのとき高校生だったと思うが、それが何度聞いても信じられないほど素晴らしい演技を見せている。これほど台詞の意図を読み、かつそれを表現できる声優が20歳にもならないとは…激しい演技も本当に鬼気迫るものがあり、周りを囲む錚々たるベテランの中で何一つ劣るところのない演技を見せていると思う(つかむしろ野中藍はもっとどうにかならんかったのかと…)。個人的に最近の新人はあまり好きじゃないんだが、この子だけはマジで別格。
そしてキタエリはほんとーーーーーにいい。大体においてキタエリは悲恋役が多く、さやかちゃんのような頑張り損な子はもう当て役とすらいっていいのだが、そんなどハマり役のなかで見せるシリアス演技がもう本当にヤヴァイ。八話一連の流れは一世一代の名演だ。ただ器用なだけの声優じゃないことをよーくわからせてくれる。色んな役ができて、だが深い演技もできる名脇役女性声優としては個人的にまさに千和がトップにあがるわけだけど、キタエリはその跡を継げる数少ない一人だろう(もちろん千和もいい演技を見せている)。

そして最後に、やはりというかシナリオの素晴らしさに驚いた。
とにかく隙がない。アニメというのは大体においてどこか隙があるもんだが、1クールとはいえここまで隙がないシナリオというのはなかなかない。これだけ陰鬱になっても嘘臭さが全くなく、むしろ必然としかいえないように流れを作る上手さはさすが虚淵というか、あのフェイトゼロを書いた奴とは思えない。またきちんとどんでん返しをしてシナリオに飽きがこないようにしたり、しかもそのネタ仕込みも完璧だったりと、本当に海外ドラマか洋画かというようなシナリオの強度たるや、日本のオタク業界どころかエンタメ業界全体を見渡しても間違いなくトップクラスといえる。これがエロゲライターだったというのだから、オタク業界ってのは本当に奥が深いもんである。
もちろん萌えも忘れない。さやかちゃんはいつだってかわいい。今回見てほむほむもかわいいなぁと思った。さやかちゃんとイチャつくまどかをみてぐぬぬしてんだろうなと思うととてもかわいい。杏子もかわいい。エサあげたい。さやかちゃんに餌付けされてほしい。そして何回見ても上条と緑はぶっ殺したいね!もうこれどうしようもないね!この殺意どうしようかね!
しかしここまで暗く重い話が今の日本にここまでウケるというのが本当に信じられない。
最後にエンディングとしてmagiaが流れるわけだが、あの恐るべき重低音とともに映る映像のアヴァンギャルドさに驚いてしまった。抽象画のような赤黒い空間の中を赤いシルエットで走っていくまどか。感動もクソもない。怒りと悲しみに満ちたこのアニメをとてもよく表していた。
もちろん全体としては完璧にエンターテイメントであるし、ラストはまあ基本的にはハッピーエンドと言っていいだろう。だが、希望と幸せと恋愛と感動に満ちみちたこの日本エンタメ業界において、過剰なほどに世界をクソッタレに描くまどマギという作品がここまでバカ売れし日本を賑わせたという事実はとても重要だと思う。
大事なのはクソッタレだと言って終わっていないことだ。普通に面白いし、決して現代アニメの文法から大きく外れているわけでもない。エンタメとして高い完成度をしっかりと保持しつつ、自らのホームグラウンドの人たちを裏切ることもなく、だがクリエイターとしての高い信念を持って作られたからこそまどマギは素晴らしい作品なのだ。虚淵だけの力ではない。シャフトだけの力でもない。これこそ強いエゴをみんなで形にするアニメならではの素晴らしさといえるだろう。

だが、ここまで書いといてなんだが、未だにラストについては不満がある。やはりあそこはもっとエンターテイメントに徹するべきだったと思う。
だが、なんと後半は新規カットが多くあるという。この後には三つめの完全新作劇場版も待ち構えている。期待せざるを得まい。ぜひ今度こそグレンラガン劇場版のような、アニメならではの正しいご都合主義を見せてもらいたいものだ。ていうかさやかちゃん復活させてね!ほんとお願いします!あのままじゃいくらなんでも不憫すぎるだろ!もう今までの流れとか設定とか全部無視して気合と根性で復活でいいから!頼んだで虚淵いいいいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!!!!

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