自分は昔（今もだが）イラストレーターになりたくて，色々絵を描いていた。
まあびっくりするぐらい才能がなかったので途中であきらめたが，野心に燃えていた（というほどでもないが）あの頃にはもちろんプロの道もそれなりに考えていて，そのために専門学校なり大学の漫画学科に入るなりということももちろん視野に入っている時期もあった。
http://togetter.com/li/103270
そういう自分がこの議論を見て，正直かなり驚いた…というよりショックだった。
まあかなり長いので全部見るのは厳しいと思うが，議論になっている対象は表題どおり「大学（ここには描いてないけど専門学校もあまり変わらないと思う）は漫画家になる道か」というもので，基本的に「高い学費を払っていくほどの価値は無い」という漫画家と「そんなことはない」という，大学の漫画専攻で講師もしている作家およびライターの討論になっている。
自分の考えは前者だ。ただ俺がショックを受けたのはこの議論自体ではなく，後者の人の主張というかスタンスだった。
いわく「決して若いうちに漫画家になるだけが幸せな道ではない。漫画業界には他にも職があるし，何年もたったあとに漫画家になる道もある」という考え方だ。
こんな考えを漫画専攻講師の人が持っているという事実に愕然とした。
少なくとも俺にとって，漫画家になることと漫画業界の他の職に就く事は全然違う。漫画家こそ至上！それ以外はクズ！ということではもちろんなく，単純に違うものだろうということだ。漫画家はクリエイターであり，他の職業は立派な他の職業だ。漫画家志望の人に「君は無理だから漫画に関わるほかの職業に就きなよ」なんて漫画家目指す若者に言える性根っていったいどんなものだ？じゃあ漫画業界の他の職業は漫画家になりきれなかった人たちの成れの果てなのか？漫画家になりたい人は漫画を描きたくて目指すわけだし，編集ならそれは編集を目指す人がしっかり目指してなるべきものだ。上みたいな言い方は漫画家志望の人にも編集者志望の人にも失礼だろう。ましてやそういう漫画家のみを志すものを「若いから視野が狭い」だなんて…そんな奴に絶対将来の口出しをしてほしくない。
しかも「若いうちになれなくたっていいじゃないか，二十年後だって漫画家になれる」だって…？その二十年間何してるんだ。漫画描いてるのか？親のスネかじって？サラリーマンか？それじゃただの転職じゃないか！無茶苦茶だ。ライターの人は最初映画監督になりたくて必死に努力したが無理でやむなくライターになり，そのあと四十歳になってからやっと映画を撮り始めた人らしい。つまり自分みたいな人生もあるよと。ギャグでいってるのか？そんな人生嫌に決まってるだろ！？あんたにしてみりゃ二十歳からの二十年はあっという間かもしれないが今二十歳の人からしたら二十年なんて途方も無い時間だ！そんな時間我慢しろなんてどの面下げていえるんだよ！？
極め付けにこんな発言をしている。
「毎年数パーセントでもプロが出るようなら、その学校は意味があるし、さらには、作家以外の周辺職業に何割か送り込めれば、それで充分でしょう、と思ってます。」
これは…もちろん学校のパンフに描いてあるんだろうな？説明会で必ず言ってるんだろうな？数パーセントだと？そんなもの…普通に学校行かないﾜﾅﾋﾞの数パーセントだってプロになるだろ…？こんな宝くじみたいな確率でしかプロになれない学校に死ぬほどプロになりたい奴にｳﾝ十万払わせて「プロへの道」だなんて…。
まあ，もちろん漫画家と周辺職業が全然違うというのも，若いうちになりたいといのも俺の意見だし，専門学校の講師みんなこういう考えとは限らない。ただこんな考えの奴が若者の味方面できる世界に俺は行きたくない。