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ここは管理人u16の趣味雑記をのせたブログです
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前にブログでミイラズの『言いたいことはなくなった』をボロクソ(というほどでもないが)に叩いた(http://u16n.3rin.net/Entry/150/)んだが、これが意外と多くの人が来てくれて笑っちゃうことに「ミイラズ パクリ」とググったら上から四番目に出てくるくらいになった。
コメントは無かったので読んだ人がどういう感想を持ったかはわからないが、まあミイラズのファン(特に最近の)であればあまりいい思いはしないだろう。少なくとも最新モードのミイラズは真っ向から批判したわけで、これは次のアルバムが出たらまたレビューするしかあるまいと思っていたら案外早く出た。それが今回選んだ『選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ』である。

まず一曲目がいい。
ハイヴスのような直線的で(今までの曲に比べれば)遅いリズムに合わせて周りの人間を毒づく。どうやらラブソングモードはやめたらしい。いいことである。曲としても速攻サビに入る曲構成や間奏にまさかのギターソロなどなかなか聞きどころがある。
今回の曲は大体三つのタイプに分かれる。強いリズムとストロークギターをバックにくっさい詞を載せて歌い上げるシングル曲、さらにディストーションを効かせてリフをつけまるでハードロックのようにふざけた詞を歌う"HELL'S DRIVE"や"DE La Warr"などの曲、"クッキー"や"きっと、きっとね"などの前作を踏襲したバラード。と言っても最後のタイプは二曲だけ("S.T.A.Y"は微妙なところだが)なので、全体的にかなりハードになっているのが第一印象だ。
また歌詞もシングル曲以外はかなり怒り&ふざけまくっている感じで、昔のミイラズが戻ってきたと言えると思う。
またさらに前の作品と比べても、強いリズムとディストーションギターという特徴は守りつつもそれ以外は様々な趣向が凝らされていて聞いてて飽きない。"ウ□ボ□ス"のリズムパターンなどはかなり刺激的だし、"傷名"の変拍子も面白い。メロディもまあベタっちゃベタだがそれでも一応ミイラズなりに抑揚をつけていて今までにないチャレンジだと思う。
総論として、なかなかいいアルバムである。
ただやっぱり相変わらずメロの才能がないし曲構成やコード進行がまだまだ適当すぎ、また歌詞もシングル曲が臭すぎてウーバーワールドかおめーわとかサビに同じ言葉繰り返すネタもう飽きたよとかまだまだ突っ込みどころというか成長の余地はあると思うけど、ギターロックに拘りつつガレージ感をしっかり残し、かつくだらんセンチメンタリズムに逃げることもなく(言うまでもなく一時期逃げてたわけですが)しっかり主張というか個性を持ったバンドというのは珍しいし、やはり"うるせー"で「この曲が一番うるせー!」と言えてしまうユーモアセンスは俺は好きだ。
勝手な推測だが今回のやたらハードなノリは新加入したメンバーが関係あるのでは?またここ(http://www.hmv.co.jp/news/article/1301230022/)で見せている畠山の音楽嗜好はかなり面白いと思う。もっと音楽性が増してくれれば俺の中で黒猫チェルシーやandymoriとマジで並べる素材は持っていると信じている。

渋谷タワレコでこれ買ったらチケットもらったのでインストアライブに行ってきた。
意外とスカスカだったし何となくお利口になってる感があった気がしたが、それでもやっぱり客にツッコミ入れたりしてるあたりまだまだ全然変わってないなーと思った。あと畠山歌うまくなってた。
ただ客が邦楽ど真ん中臭が本当に半端じゃなく、間奏はすぐに手叩くしなぜかサビでは必ず一本指立てるし(あれマジで何なの?)、女は変な踊りするし男はうるせーしモッシュはしないのに輪になって変なヘッドバンギングはしてるしいやもうぶっちゃけ言いますが気持ち悪さ全開で笑っちゃいました。あと"CAN~"をやった時ここぞとばかりに後ろからバカ女が突撃してくる感じももう何ていうかほんとアレでうーん。
断言しよう。そういう所業を畠山は変だと思っているはずだ。彼自身何度も言っているように彼は基本的に洋楽育ちの人間であり、ミイラズのロールモデルもほとんど洋楽からとってきている。あんなウンコチンチンな客を決して嫌がりはしないにせよ「ダセーな」とは思っていると思う。だってお前ジュリアン・カサブランカスまんまの格好してるやつらがデブホットパンツタイツ女の謎一本指ジャンプ見て笑わずにいられるか?無理だろ!
そういうファンの是非自体はおいといて(そういうファンが支えて今のミイラズの地位があるわけだし)、そういう自分の音楽嗜好とはとても距離のあるファンを多く持つジレンマというものが今のミイラズを縛っているのかなともやはり思う。もちろんその齟齬が意外と名作を呼んだりもするわけだが、今のところミイラズはそのストラグルを上手にやっているかと言われると難しい。
ただ今回はそれがなかなか面白いほうに転がったと思う。Yo La TengoやDucktails、Toro Y Moiを好きになれる人間がこの邦楽界のど真ん中でどう戦っていくのか。8ottoは海外へ舵を切った。andymoriはメロウさに走った。黒猫チェルシーとVolaは死んだ(いやわからんけどw)。
ミイラズはまず「死なない」、「売れる」という信念がある。そのために音楽性を殺す覚悟すらあるのだ。それは普通に考えれば退屈な売れ線バンド一直線だが、しかし彼らの根底には反骨精神がある。今回のアルバムはそれが滲み出ている。まさに「選ばれてここに来たんじゃなく、選んでここに来たんだ」というわけだ。続きを楽しみにしたい。

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今年はディスクレビューから。

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あちこちのアルバムオブザイヤーに載っていて気になっていたところでロッキンオンのレビューであの天井さんが「James Blakeをも凌駕する」とまで書いていて買おうと心に誓ったところCDで4000円もすることを知り愕然としていたらそういえばアナログ盤が町田のディスクユニオンにあったなと気づき元旦に慌てて店へと走り薄い本を買うついでに購入。
まさに期待を裏切らない出来でした。
基本的な構成要素は三つ。優しく美しい女性ボーカルのコラージュ、同様に美しく、が少し重いアンビエント、そして硬質なビート。この三位一体が素晴らしい。
フォーク的なメロディの美しさにアンビエントを加え現代流逃避音楽にしてみせたのが前にブログでも紹介したGrouperなわけだが、そこに思ったよりもずっと重くて固いビートを含めることで肉体性まで獲得する。もちろんアンビエントとしての陶酔はGrouperよりも減ってしまうが、ビートがいい意味で単調なのでテクノ的な陶酔が代わりに付け足されてサイケデリックさが後退した印象はない。しかし決して全てが適当なイーブンキックというわけではなく、イントロやブレイクなどある程度ダンスミュージックとしてのお約束を忘れていないというのもさらに好印象である。こういう強迫観念的ではない(早い話EDM的ではない)快楽性の高さはAndy Stottがミニマルダブのプロデューサーであることも関係しているだろうが、しかし決して地味音楽になっていないのはやはり今作からの躍進であるように思う。まさにクラブミュージックとドローン/アンビエントのダークな融合といえるだろう(そのような作品はデムダイク・ステアやレイムなど一部のジャンルとなっているらしい)。
そこには逃避ではないサイケデリックが広がる。力強さを持ち、そしてどこか怒りとロマンすらも感じるサイケデリックである。
Factory Floor的な感覚もある。決してふぬけた面をしたバカ音楽などではない。沈痛な面持ちで卓を操作するAndy Stottの姿が目に浮かぶ(来日するらしい。ぜひ行きたい)。だがニヒリズムだけでもない。アヴァンギャルドに寄りすぎることもない。それではインディ至上主義の餌食になるだけである。彼はそこに耽溺することもない。
ニヒリスティックなビートと重苦しいSEを全体にちりばめつつ、だが先述したようにそこに美しいボイスコラージュを混ぜることで彩りを加え、ビートを操ることで快楽性を付加する。それは無駄なことではない。素晴らしいことである。作品に多面性をもたらす。怒り嗤う顔にほんの少しの愛と情熱をもたらす。それは現代的なセンスだと俺は思う。それこそ天井さんが言うようにJames Blakeとバランスは違えど近い印象を持たせる。まさに俺が音楽の最先端、最深部に求める感情である。

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『ビビッドレッド・オペレーション』が始まる。
愛と情熱にほんの少しの、だがとても大切な悲しみを添えたアニメになる。そんな期待をしてしまう。それもとても美しいものである。今アニメほど大衆性を恐れずに作家性をもって作品を作る文化を俺は知らない。他の文化(音楽を筆頭に)が愛と情熱を叫んでもほとんど間違いなくどうしようもなく薄っぺらいものにしかならないが、アニメ、その中でも高村監督が叫んでくれるのであれば、『ストライクウィッチーズ』を作ってくれた彼であれば、その言葉に喜んで耳を傾けたくなる自分がいる。
その逆位相として『Luxury Problems』はある。エゴをむき出しにする音楽ならではの暗さと冷たさを全開にした、だが決してそれだけではないそのエゴなりの美しさも併せ持った作品。俺はこれを『ビビオペ』(『ビビパン』ではない)と並べる。
少しづつにじり寄る現実の悪夢。それをうち払うのはもはや『けいおん』やUSインディなどの適当な逃避などではない。もっと積極的な明るさを持ったアニメか、もしくは逃避などという度を超えたニヒリスティックでロマンチックな音楽である。"Up In The Box"のイントロから瞬間のブレイクの後響く重すぎるほどのビートは、間違いなくその答えの一つである。ライブに行きたい。
 

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寝ても覚めてもエヴァQのことを考えている俺だが、その時のBGMとして聞いているのがこれである。
GodSpeed You!Black Emperor(略称GYBE)。ポストロック界ではモグワイ、シガーロスに次いで有名だと言っていいだろう。TSUTAYAのポストロックコーナーでも大体枠がある。
だが、その2アーティストの彼らの違いはそのアヴァンギャルドさと社会性である。
モグワイやシガーロスは、ボーカルが楽曲を占める割合が少ないというのはあるが、基本的にはロックのフォーマットに沿った曲が多い。
だが彼らは違う。まず楽器構成はドラム、ギター、ベースに加えヴァイオリンやヴィオラなどの弦楽器、はたまた謎の民族楽器まで様々で、しかもそれが一曲においてすべて鳴らされる。
そしてほとんどの曲は20分越えであり、そこには構成といえる構成はほとんどない。ある程度の即興的なリフやリズムだけを担保に、とりあえずノリと気合で20分という感じだ。もちろん盛り上がる部分やブレイクはあるが、ポストロックというよりはドローン系アーティストという呼ばれ方の方が最近ではしっくりくるのではないだろうか。
正直自分としてはそのアヴァンギャルドさが好きになれず、本当にドローンのように暇な夜に何となく流す程度のアーティストではあったのだが、そのイメージが完全に吹っ飛ばされたのが彼らが再結成後来日したI'll Be Your Mirrorだった。
といっても別にCD音源と違うアレンジだったわけではない。持ち時間である二時間、MCなしで延々CDのような曲を演奏するだけだ。だがプロジェクターに映された意味性の薄い、だが権力に対する怒りが滲み出た映像と、CDの何倍もの音量で迫りくるその音像に打ちのめされ、ライブが終わった後どこか放心状態になったのをよく覚えている。
そしてそのライブ体験によりCDのイメージも変わり、少しだけ聞く頻度が上がった今、なんと再結成してからの新譜がでるということで買ってみた。

とにかく一曲目"Mladic"である。このCDの価値の半分以上を担っている。
どうやらライブ定番曲らしい。道理だと思う。力の籠められようがあまりに違う。
しかし何より驚くべきは、今までにないほどしっかりとした曲構成だということだ。
冒頭の十八番ギタードローンからゆっくりと形成されていくリフ。そして段々と全ての楽器がそのリフに合わせるようになり、最後には巨大な音全てがうねりをあげてグルーヴを作る中盤。
このリフも今までのような即興的なものではない。まるでレッド・ツェッペリンの"Kashmir"のような、力強くしっかりとしたリフである。踊れる、といっても過言ではない。
そしてすっと音がなくなり、数分のノイズパートに入った後、二番目のリフを鳴らす。そちらは少し愁いを帯びた印象的なリフなもので、だがメロディアスさはやはり今までのGYBEとは違う。
それを何回か鳴らした後完全なブレイクに入る。ギターノイズから小さく入ってくるスネアの連打、振り子のようにリズムを刻むストリングス。そしてスネアの強さが段々と増していき、最高潮になったところでクライマックスだ。
この長さ、構成、どこかモグワイの"My Father,My King"を連想させる。
また、GYBEのもう一つの特徴でもある社会性もそのタイトルにしっかり込められている。
ボスニア紛争で起きたスレブレニツァの虐殺(http://bit.ly/SgAgMR)。その首謀者であるRatko Mladicの名前から取られたタイトルからは、あの有名企業の軍需産業との繋がりをスリーブに書いた『Yanqui U.X.O.』の頃の怒りが微塵も失われていないことが感じ取れる。
確かに今までのGYBEといえばGYBEだろう。だが俺には、むしろ昔よりも力強さというか怒りが増しているように感じられる。変わらぬ世界、愚かな政治家、そして何も考えずにただギターを鳴らすだけのふねけたミュージシャン。そんな怒りを昔よりも強く胸に抱いて、彼らはあの情念の塊のような音楽を鳴らすために再結成したのではないか。そんな思いに駆られてしまう。

そう。それがこのアルバムを俺がQのサウンドトラックとする理由である。
昔壮大かつ社会性を持ち合わせた表現をした人が志半ばで倒れ、だが今の社会性を全く持たないぬるま湯の表現を続ける人たちに怒り、その情念を胸にまた立ち上がった。こうしたGYBEの足取り(といっても大いに推測ではあるが!)がどうしても新劇エヴァを作った庵野を想起させるのだ。
繊細さや情念と壮大さ、社会性を兼ね備えた表現やフォロアーの社会性のなさ(ポストロックなんて社会性とかと完全に無縁であろうことは想像に難くない)、そして何より現代におけるロックおよびアニメの地下水脈にその血を濃く残している部分(エレキング曰く今のドローン/ノイズ系アーティストの下地にはGYBEがいるらしいし、アイマスやスト魔女の監督は元ガイナ)えーい妄想妄想!わかってるわバーカバーカ!いいんだい俺が一人でMladic聞きながら脳内でQのMAD作るんだい!
まあ何にせよこのアルバムはQとか関係なく素晴らしい。ぜひぜひ聞いてもらいたいと思う。

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andymoriとはつくづく不思議なバンドだと思う。
遠目にはまあ普通のロキノンバンドだと思う。大した物珍しい音楽性でもなく、そこそこにキャッチーで、そこそこに尖っていて、そこそこの個性もあり、そこそこに売れている。
しかし一つでもアルバムを借りてみてみると、ずいぶん印象が変わる。
まず歌詞が違う。あまりにも他の邦楽バンドとは違う、具体性と抽象性が妙な混ざり方をしている。音楽性も、決して多種多様というわけではないが、どの曲も何とも言えない違いがある。曲構成や歌い方、リズムやメロディなどに細かい差とこだわりがあり、飽きない…というわけではないが、不思議とアルバムを通して聞いてしまう。
これはあくまで個人的な感覚ではあるが、俺はよく洋楽のアルバムは通して聞く。洋楽は曲自体の質というよりアーティストごとの個性でCDを買っているので、捨て曲とかシングルみたいな概念を意識せずに全曲聞く。逆に邦楽に関してはポップさや曲の完成度を重視して聞くので、どうもシングル曲だけ聞いてあとはほとんど聞かないみたいなことが多い(まああまりよくない聞き方ではあるし邦楽や洋楽といっても様々ではあるが)。
しかしandymoriにおいてはどうしても全曲聞いてしまう。もちろん"CITY LIGHTS"や"everything is my guiter"などのキラーチューンはあるが、他の曲も飛ばそうという気にならない。別に完成度が高いとかアルバム一枚で物語がどうのみたいな話ではなく、さっき言ったような意味でandymoriとしての個性に魅力があるからだと思う。こんなバンドはロキノンバンドでは他にいない。
それは何かと言われれば…色々な要因があるが、小山田荘平の若々しい声で歌われるどこか悲しいメロディが、やはり全てにおいて自分の琴線に触れる。

そのandymoriの四枚目である。
前作『革命』の延長線上にあるといえばあるが、また違うところに行っているというのがまず受けた印象だ。『革命』は三人で一斉に鳴らしたパンクロックアルバムという印象が強かったが、これはもう少し広がった…広義でいうロックなアルバムといったところだろうか。リズムもいつも通りの速いトラックは半分くらいで、今までのディスコグラフィから考えても落ち着いたアルバムといえる。トランペットやリコーダーなど新しい音色もうまい具合に使われている。
1,2曲目はわかりやすいandymori風の曲だが、歌詞は『革命』での具体性を強めたものに近く、古い日本の歌謡曲を思わせる。"光"のあまりにもストレートな歌詞は1st,2ndの抽象的でどこか風刺の効いた歌詞を好んだファンには凡庸に映るかもしれないが、しかしむしろこれほどまっすぐな歌詞をてらいなく書けるということに俺は小山田の才能を見る。
「分かるかい?砂に書いた文字も石に刻んだ名前も波と風に消えていくから今君の手に触れたいんだ」というラインには、強い諦観とそれゆえの愛の渇望がある。それは巷にはびこる別れソングのくだらないセンチメンタリズムやそれこそ引用元の昭和歌謡の様式に近い三流ラブストーリーのどちらでもありどちらでもない、今の時代だからこそ書ける歌詞だと俺は思う。これをパンクロックに乗せて歌うところに意味がある。
正直"インナージャーニー"や"三分間"などはすこしつまらないとは思う。わかりやすいキャッチーさから逃げた悪い結果だとは思う。
だが、それを補って余りあるほどに、ミディアムバラードの"君はダイヤモンドの輝き"は素晴らしい。
今までのandymoriからいえば"1984"や"16"が近いとは思うが、よりフォークに近づいたそのバンドサウンドとともに、乾きつつも憂いを帯びたメロディを存分に発揮して小山田は歌う。
「君はダイヤモンドの輝き 僕だけが愛した人 この心の中の小さな光がたどり着いた瞳」
タイトルは冗談のような恋の文句で、歌詞もただひたすらに愛を歌い、だがどこまでも曲は悲しく、それは俺にとってけいおんやストライクウィッチーズに近い。悲しみを知りながらしかし決してそれをあらわさず、だがたった一言だけ「ごめんね ありがとう」と呟くその姿は、街宣車や右翼をからかった1stの彼らでは決してたどり着けなかった場所にいる。
そして、間違いなくこのアルバムのハイライトになっているのが、"クラブナイト"だ。
まさかのイーブンキックと、マーチングリズムというむちゃくちゃな組み合わせに合わせて歌われる、このアルバムでは珍しい完全に躁な曲である。曲構成は何一つ珍しいものではない。相変わらずの素晴らしいメロディとともに、ほとんどリズムも変わることなく叫ぶ。
「輝いた時代のアルバムをめくる手を止めて クラブナイトへおいでよ 下心でもいいよ 君の好きなレコードをかけるよ」
クラブという現代の邦楽からかけ離れたものをメタファーとして、ひたすらにうずくまり傷をなめあう邦楽ファン、そしてただひたすらに過去に囚われる懐古厨その両方に前へ進めと叫ぶこの歌を聞いたとき、俺は彼らの非凡さに気づいた、
これはぜひライブバージョン(http://www.youtube.com/watch?v=lukyWRbpMC0)を聞いてほしい。CDの何倍も力強く叫ぶ小山田と、ひたすらに楽しそうに演奏するバンドたち、そしてそれに応えるファンたちのの美しさは何物にも換えがたい。

彼らが売れているというのは、素晴らしい事実だと思う。
ファンはその非凡さに気づいているような感じではないが、色々な音楽に触れてきてなお見渡した邦楽の状況において、彼らの異才はひときわ輝いて見える。
もちろん足りないものもあるし、耳を楽しませる音楽かといわれるとそうでもないが、ロック本来の若さと力強さというものをしっかりと保持しているバンドというと、今の世代に受け入れられているバンドでは彼らと…9mmくらいのものではないか。
しかしどうやらファンも最近の路線は好きではないらしい。まあ気持ちはわからんでもないが。
RADWIMPS的でも凛として時雨的でもなく、くだらない参照で楽しむボウディーズや毛皮のマリーズの類でもない。しっかりと今の時代を把握しつつ、新しい答えを出していくバンドとして、彼らの行く末をこれからも見守っていきたい。

 

 
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個人的なアニコレのベストアルバムは『Strawberry Jam』で、ベストソングは"Fireworks"である。つまりアニコレの好きな部分はいわゆるエレキ化したあと、テンション高くノリよく歌い上げるところであり、だから正直それより以前…ノイズだったりフォークだったりしていたころはそんなに好きではない(嫌いでもないが)。
ただ何となくではあるが評論家界隈で評価されているのは中期…特に『Sung Tong』あたりで、前見たStereogumのアニコレベストソング10ではだいたいその頃のものだった。まあ確かにあの頃の美しさというか渋さみたいなのは今はないとは思う。とにかくやたらテンションが高いし歌いまくるのが最近のアニコレである。
そこが個人的にミソで、こんなに分かりにくい音楽をやっているのに決して頭でっかちになっていないのが素晴らしいと思っている。『Merriweather Post Pavilion』が全米ベスト10に入ったという事実がそれを如実に表している。それがセルアウトだと感じる人もいるだろうが、自分としてはこれほど頭と体を同時に楽しませてくれるアーティストは他にいない。聞いててとても楽しい。驚くほど様々な参照点と自由極まるイマジネーションによるとてもカラフルな音像の中から放たれる強いリズムと美しく力強いメロディは、どこか今の深夜アニメのような多様性と想像力、そしてポップさを想起させる。

そんなアニコレの新譜である。
テンションは更に増している。史上最高潮といってもいい。リズムは躍動感に溢れ、ほとんどの曲でヴォーカルは叫んでいる。また、サンプラーをとにかくあちこちでぶち込んでいて、全く整理されてない摩訶不思議た音の数々がそこらじゅうで乱反射しサイケデリックさを演出している。
近いのはやはり前作だが、あれよりもずっと荒々しく複雑であり、パンクである。オリジナルメンバーが久しぶりに揃って作ったアルバムらしく、またインタビューを読む限りメンバーそれぞれの公私共に充実しているようで、感覚としては「調子よくて何となくノリでできちゃった」みたいなオーラがある。今まではアルバム一枚としては一つのカテゴリーに収まらない、様々なタイプの曲が収録してあったが、今回は違う。基本的には一定のムードのままである。それこそ先行公開された"Today's Supernatural"が11曲収録されていると考えて問題無いと思う。また、アニコレの長所のひとつでもあったコーラスが今作ではほとんど無く、代わりにヴォーカルにはエフェクトが強くかけられている。
なかなか今まで…『Feels』から前作まで共通していたものとは違うモードである。このモードが合わない人としてはこのアルバムは微妙だろうし、実際ピッチフォークでもアニコレとしては点数が低かったらしい(まあ確かにインテリに好まれる曲ではない)が、昨年のピッチフォークフェステヴァルから今作収録の曲に魅了されていた自分としては素晴らしい限りだ。
特に"Monkey Riches"は傑作である。パンダ・ベアの生命力に満ちた声でポップに歌われる導入、少しづつ増えてくる音、そしてサビでリフレインされる「It Makes a Monkey Riches」…前作の名曲"Brotherspot"に似ているが、美しいコーラスがなくなった代わりに気合が段違いになっている。最後のサビで叫ぶパンダベアの声は…全てをかき消す力強さがある。

内省的なムードが強く漂っているアメリカインディ界で、その王者とも言えるアニコレがこれほどテンションの高いアルバムを出してきたのは素直に賞賛したい。今までのも明るくはあったが、どこか童話的な、ファンタジーに篭もり遊んでいるような箱庭感があった。だがこれは、大人となった彼らがそのしっかりとした足腰で真正面を向き、世界に向いて叫ぶポップアルバムである。今までがけいおんなら今作はスト魔女とでもいおうか。
ぜひライブでまたこの楽曲群を聞きたいものである。今回はきちんとスタッフを連れた万全の体制で、二時間かけて過去の名曲も全て含めたフルセットをお願いしたい。
 
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